裁判員の参加する刑事裁判に関する法律平成十六年法律第六十三号
この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。
地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第三条の二の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第二十六条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
3第一項の規定により同項の合議体で取り扱うべき事件(以下「対象事件」という。)のうち、公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ、事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては、裁判所は、裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。
4裁判所は、前項の決定をするには、公判前整理手続において、検察官、被告人及び弁護人に異議のないことを確認しなければならない。
5第三項の決定は、第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日までにしなければならない。
6地方裁判所は、第三項の決定があったときは、裁判所法第二十六条第二項の規定にかかわらず、当該決定の時から第三項に規定する合議体が構成されるまでの間、一人の裁判官で事件を取り扱う。
7裁判所は、被告人の主張、審理の状況その他の事情を考慮して、事件を第三項に規定する合議体で取り扱うことが適当でないと認めたときは、決定で、同項の決定を取り消すことができる。
地方裁判所は、前条第一項各号に掲げる事件について、被告人の言動、被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により、裁判員候補者、裁判員若しくは裁判員であった者若しくはその親族若しくはこれに準ずる者の生命、身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり、そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し、裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない。
2前項の決定又は同項の請求を却下する決定は、合議体でしなければならない。ただし、当該前条第一項各号に掲げる事件の審判に関与している裁判官は、その決定に関与することはできない。
3第一項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
4前条第一項の合議体が構成された後は、職権で第一項の決定をするには、あらかじめ、当該合議体の裁判長の意見を聴かなければならない。
5刑事訴訟法第四十三条第三項及び第四項並びに第四十四条第一項の規定は、第一項の決定及び同項の請求を却下する決定について準用する。
6第一項の決定又は同項の請求を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。この場合においては、即時抗告に関する刑事訴訟法の規定を準用する。
地方裁判所は、第二条第一項各号に掲げる事件について、次のいずれかに該当するときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない。
2前条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、前項の決定及び同項の請求を却下する決定について準用する。
3第一項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、あらかじめ、当該第二条第一項各号に掲げる事件の係属する裁判所の裁判長の意見を聴かなければならない。
裁判所は、対象事件以外の事件であって、その弁論を対象事件の弁論と併合することが適当と認められるものについては、決定で、これを第二条第一項の合議体で取り扱うことができる。
2裁判所は、前項の決定をした場合には、刑事訴訟法の規定により、同項の決定に係る事件の弁論と対象事件の弁論とを併合しなければならない。
裁判所は、第二条第一項の合議体で取り扱っている事件の全部又は一部について刑事訴訟法第三百十二条の規定により罰条が撤回又は変更されたため対象事件に該当しなくなったときであっても、当該合議体で当該事件を取り扱うものとする。ただし、審理の状況その他の事情を考慮して適当と認めるときは、決定で、裁判所法第二十六条の定めるところにより、当該事件を一人の裁判官又は裁判官の合議体で取り扱うことができる。
第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において、刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決、同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は、第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。
2前項に規定する場合において、次に掲げる裁判所の判断は、構成裁判官の合議による。
3裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い、それ以外の審理は構成裁判官のみで行う。
第二条第三項の決定があった場合においては、構成裁判官の合議によるべき判断は、構成裁判官が行う。
裁判員は、独立してその職権を行う。
裁判員は、法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。
2裁判員は、第七十条第一項に規定する評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
3裁判員は、裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。
4裁判員は、その品位を害するような行為をしてはならない。
裁判所は、審判の期間その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、補充裁判員を置くことができる。ただし、補充裁判員の員数は、合議体を構成する裁判員の員数を超えることはできない。
2補充裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理に立ち会い、第二条第一項の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じた場合に、あらかじめ定める順序に従い、これに代わって、裁判員に選任される。
3補充裁判員は、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧することができる。
4前条の規定は、補充裁判員について準用する。
裁判員及び補充裁判員には、最高裁判所規則で定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料を支給する。
裁判所は、第二十六条第三項(第二十八条第二項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。)、第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により選定された裁判員候補者又は裁判員若しくは補充裁判員について、裁判員又は補充裁判員の選任又は解任の判断のため必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
2地方裁判所は、裁判員候補者について、裁判所の前項の判断に資するため必要があると認めるときは、公務所に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、この節の定めるところにより、選任するものとする。
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条の規定に該当する場合のほか、次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることができない。
次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員の職務に就くことができない。
2次のいずれかに該当する者も、前項と同様とする。
次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。
次の各号のいずれかに該当する者は、当該事件について裁判員となることができない。
前条のほか、裁判所がこの法律の定めるところにより不公平な裁判をするおそれがあると認めた者は、当該事件について裁判員となることができない。
第十三条から前条までの規定(裁判員の選任資格、欠格事由、就職禁止事由、辞退事由、事件に関連する不適格事由及びその他の不適格事由)は、補充裁判員に準用する。
地方裁判所は、最高裁判所規則で定めるところにより、毎年九月一日までに、次年に必要な裁判員候補者の員数をその管轄区域内の市町村に割り当て、これを市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
2前項の裁判員候補者の員数は、最高裁判所規則で定めるところにより、地方裁判所が対象事件の取扱状況その他の事項を勘案して算定した数とする。
市町村の選挙管理委員会は、前条第一項の通知を受けたときは、選挙人名簿に登録されている者の中から裁判員候補者の予定者として当該通知に係る員数の者(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二十七条第一項の規定により選挙人名簿に同法第十一条第一項若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条の規定により選挙権を有しなくなった旨の表示がなされている者を除く。)をくじで選定しなければならない。
2市町村の選挙管理委員会は、前項の規定により選定した者について、選挙人名簿に記載(公職選挙法第十九条第三項の規定により磁気ディスクをもって調製する選挙人名簿にあっては、記録)をされている氏名、住所及び生年月日の記載(次項の規定により磁気ディスクをもって調製する裁判員候補者予定者名簿にあっては、記録)をした裁判員候補者予定者名簿を調製しなければならない。
3裁判員候補者予定者名簿は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもって調製することができる。
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