自動車損害賠償保障法昭和三十年法律第九十七号
この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立するとともに、これを補完する措置を講ずることにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。
この法律で「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車(農耕作業の用に供することを目的として製作した小型特殊自動車を除く。)及び同条第三項に規定する原動機付自転車をいう。
2この法律で「運行」とは、人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう。
3この法律で「保有者」とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するものをいう。
4この法律で「運転者」とは、他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者をいう。
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。
自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。
責任保険の保険者(以下「保険会社」という。)は、保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等で、責任保険の引受けを行う者とする。
2責任共済の共済責任を負う者は、次の各号に掲げる協同組合(以下「組合」という。)とする。
保険会社は、保険料の支払があつたときは、保険契約者に対して、当該自動車につき自動車損害賠償責任保険証明書を交付しなければならない。
2保険契約者は、当該自動車損害賠償責任保険証明書の記載事項について変更があつたときは、自動車損害賠償責任保険証明書にその変更についての記入を受けなければならない。
3保険会社は、前項の規定による記入の申出があつたときは、遅滞なく、その記入を行わなければならない。ただし、第二十二条第三項又は第四項の規定による請求をした場合において、その金額の支払がなかつたときは、この限りでない。
4保険契約者は、自動車損害賠償責任保険証明書が滅失し、損傷し、又はその識別が困難となつたときは、保険会社に対して、その再交付を求めることができる。
5自動車損害賠償責任保険証明書の記載事項その他自動車損害賠償責任保険証明書に関する細目は、国土交通省令で定める。
6保険法(平成二十年法律第五十六号)第六条の規定は、責任保険については、適用しない。
自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書(前条第二項の規定により変更についての記入を受けなければならないものにあつては、その記入を受けた自動車損害賠償責任保険証明書。次条において同じ。)を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。
道路運送車両法第四条、第三十四条第一項、第三十六条の二第五項、第六十条第一項、第六十二条第二項(第六十三条第三項及び第六十七条第四項において準用する場合を含む。)、第六十七条第一項(使用者の変更に係る部分に限る。)、第七十一条第四項若しくは第九十七条の三又は総合特別区域法(平成二十三年法律第八十一号)第二十二条の二第三項に規定する処分を受けようとする者は、当該行政庁(道路運送車両法第七十四条の四の規定の適用があるときは、軽自動車検査協会。次項から第五項までにおいて同じ。)に対して、自動車損害賠償責任保険証明書をも提示しなければならない。ただし、道路運送車両法第九十四条の五第八項の規定により保安基準適合証の提出があつた場合において同法第六十二条第二項に規定する処分を受けようとするとき、又は総合特別区域法第二十二条の二第三項に規定する処分を受けようとするときは、国土交通省令で定める方法により作成した自動車損害賠償責任保険証明書の写しの提出をもつて、自動車損害賠償責任保険証明書の提示に代えることができる。
2前項本文の場合において、同項本文の処分を受けようとする者は、政令で定めるところにより、保険会社に委託して、当該自動車損害賠償責任保険証明書に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものをいう。)により道路運送車両法第七条第四項の登録情報処理機関(次項及び第四項において「登録情報処理機関」という。)に提供することができる。
3前項の規定により自動車損害賠償責任保険証明書に記載すべき事項が登録情報処理機関に提供されたときは、第一項本文の処分を受けようとする者は、当該自動車損害賠償責任保険証明書を当該行政庁に提示したものとみなす。
4前項の場合において、当該行政庁は、登録情報処理機関に対し、国土交通省令で定めるところにより、必要な事項を照会するものとする。
5当該行政庁は、自動車損害賠償責任保険証明書の提示又はその写しの提出がないときは、第一項の処分をしないものとする。道路運送車両法第五十八条第一項に規定する検査対象外軽自動車以外の自動車について、その提示又は提出があつた自動車損害賠償責任保険証明書又はその写しに記載された保険期間が、当該自動車検査証に記録すべき有効期間又は臨時運行の許可の有効期間若しくは回送運行の許可の有効期間が満了する日までの期間の全部と重複するものでない場合においても、同様とする。
6道路運送車両法第九十四条の五第一項の規定により保安基準適合証及び保安基準適合標章の交付を請求しようとする者は同法第九十四条の三第一項の指定自動車整備事業者に対して、総合特別区域法第二十二条の二第十一項の規定により点検整備済証の交付を請求しようとする者は同項の指定点検整備事業者に対して、それぞれ自動車損害賠償責任保険証明書を提示しなければならない。
7指定自動車整備事業者は、前項の規定による提示がないとき、又はその提示があつた自動車損害賠償責任保険証明書に記載された保険期間が、その日から道路運送車両法第九十四条の五第八項の規定により保安基準適合証の提出があつた場合において記入されるべき同法第六十一条第一項に規定する自動車検査証の有効期間(次項において単に「自動車検査証の有効期間」という。)が満了する日までの期間の全部と重複するものでないときは、同法第九十四条の五第一項の規定にかかわらず、保安基準適合証及び保安基準適合標章を交付してはならない。
8指定点検整備事業者は、第六項の規定による提示がないとき、又はその提示があつた自動車損害賠償責任保険証明書に記載された保険期間が、その日から当該点検整備済証を添付して総合特別区域法第二十二条の二第一項の規定により自動車検査証の有効期間の伸長の申請がされた場合において記録されるべき自動車検査証の有効期間が満了する日までの期間の全部と重複するものでないときは、同条第十一項の規定にかかわらず、点検整備済証を交付してはならない。
保険会社は、検査対象外軽自動車、原動機付自転車又は締約国登録自動車(道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法律(昭和三十九年法律第百九号)第二条第二項に規定する締約国登録自動車をいう。以下同じ。)について第七条第一項の規定により自動車損害賠償責任保険証明書を交付したときは、当該保険契約者に対して、保険標章を交付しなければならない。
2保険標章には、国土交通省令で定めるところにより、保険期間の満了する時期を表示するものとする。
3保険標章の有効期間は、保険期間と同一とする。
4保険契約者は、保険標章が滅失し、損傷し、又はその識別が困難となつた場合その他国土交通省令で定める場合には、保険会社に対して、その再交付を求めることができる。
5保険標章の様式その他保険標章に関する細目は、国土交通省令で定める。
検査対象外軽自動車、原動機付自転車及び締約国登録自動車は、国土交通省令で定めるところにより、保険標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
2保険標章は、当該検査対象外軽自動車、当該原動機付自転車又は当該締約国登録自動車以外の検査対象外軽自動車、原動機付自転車又は締約国登録自動車に表示してはならない。
3有効期間を経過した保険標章は、検査対象外軽自動車、原動機付自転車又は締約国登録自動車に表示してはならない。
第七条及び第九条の二の規定は、責任共済について準用する。この場合において、これらの規定中「保険会社」とあるのは「組合」と、「保険料」とあるのは「共済掛金」と、「保険契約者」とあるのは「共済契約者」と、「自動車損害賠償責任保険証明書」とあるのは「自動車損害賠償責任共済証明書」と、「保険標章」とあるのは「共済標章」と、「保険期間」とあるのは「共済期間」と、第七条第三項中「第二十二条第三項又は第四項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第二十二条第三項又は第四項」と、同条第六項中「責任保険」とあるのは「責任共済」と、第九条の二第一項中「第七条第一項」とあるのは「第九条の四において準用する第七条第一項」と読み替えるものとする。
責任共済の契約が締結されている自動車に係る第八条及び第九条の規定の適用については、第八条(見出しを含む。)、第九条の見出し並びに同条第一項から第三項まで及び第五項から第八項までの規定中「自動車損害賠償責任保険証明書」とあるのは「自動車損害賠償責任共済証明書」と、第八条中「前条第二項」とあるのは「第九条の四において準用する第七条第二項」と、第九条第二項中「保険会社」とあるのは「組合」と、同条第五項、第七項及び第八項中「保険期間」とあるのは「共済期間」とする。
2責任共済の契約が締結されている検査対象外軽自動車、原動機付自転車及び締約国登録自動車に係る第九条の三第一項の規定の適用については、同項中「保険標章」とあるのは、「共済標章」とする。
3第九条の三第二項及び第三項の規定は、共済標章について準用する。
第五条及び第七条から前条までの規定は、国その他の政令で定める者が政令で定める業務又は用途のため運行の用に供する自動車及び道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)による自動車道及びその他の一般交通の用に供する場所をいう。以下同じ。)以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車については、適用しない。
国土交通大臣は、国土交通省令で定めるところにより、前条の規定の適用を受ける検査対象外軽自動車及び原動機付自転車(政令で定めるもの及び道路以外の場所のみにおいて運行の用に供するものを除く。)について、保有者に対して保険・共済除外標章を交付しなければならない。
2保険・共済除外標章の有効期間は、国土交通省令で定める。
3第一項に規定する検査対象外軽自動車及び原動機付自転車は、国土交通省令で定めるところにより、保険・共済除外標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
4第九条の二第四項及び第五項並びに第九条の三第二項及び第三項の規定は、保険・共済除外標章について準用する。
責任保険の契約は、第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生した場合において、これによる保有者の損害及び運転者もその被害者に対して損害賠償の責任を負うべきときのこれによる運転者の損害を保険会社がてん補することを約し、保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる。
2責任共済の契約は、第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生した場合において、これによる保有者の損害及び運転者もその被害者に対して損害賠償の責任を負うべきときのこれによる運転者の損害を組合がてん補することを約し、共済契約者が組合に共済掛金を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる。
責任保険の契約は、自動車一両ごとに締結しなければならない。
責任保険の保険金額は、政令で定める。
2前項の規定に基づき政令を制定し、又は改正する場合においては、政令で、当該政令の施行の際現に責任保険の契約が締結されている自動車についての責任保険の保険金額を当該制定又は改正による変更後の保険金額とするために必要な措置その他当該制定又は改正に伴う所要の経過措置を定めることができる。
保険会社は、第八十二条の三に規定する場合を除き、保険契約者又は被保険者の悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。
被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
2被保険者が被害者に損害の賠償をした場合において、保険会社が被保険者に対してその損害をてん補したときは、保険会社は、そのてん補した金額の限度において、被害者に対する前項の支払の義務を免かれる。
3第一項の規定により保険会社が被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、保険契約者又は被保険者の悪意によつて損害が生じた場合を除き、保険会社が、責任保険の契約に基づき被保険者に対して損害をてん補したものとみなす。
4保険会社は、保険契約者又は被保険者の悪意によつて損害が生じた場合において、第一項の規定により被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、その支払つた金額について、政府に対して補償を求めることができる。
保険会社が被保険者に対して支払うべき保険金又は前条第一項の規定により被害者に対して支払うべき損害賠償額(第二十八条の四第一項を除き、以下「保険金等」という。)のうち被害者が療養のため労働することができないことによる損害その他の政令で定める損害に係る部分は、政令で定める額を限度とする。
保険会社は、保険金等を支払うときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準(以下「支払基準」という。)に従つてこれを支払わなければならない。
2国土交通大臣及び内閣総理大臣は、前項の規定により支払基準を定める場合には、公平かつ迅速な支払の確保の必要性を勘案して、これを定めなければならない。これを変更する場合も、同様とする。
保険会社は、保険金等の請求があつたときは、遅滞なく、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、支払基準の概要その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面を当該請求を行つた被保険者又は被害者に交付しなければならない。
2保険会社は、保険金等の支払を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、支払つた保険金等の金額、後遺障害の該当する等級、当該等級に該当すると判断した理由その他の保険金等の支払に関する重要な事項であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものを記載した書面を前項に規定する請求を行つた被保険者又は被害者に交付しなければならない。
3保険会社は、第三条ただし書に規定する事項の証明があつたことその他の理由により保険金等を支払わないこととしたときは、遅滞なく、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、支払を行わないこととした理由を記載した書面を第一項に規定する請求を行つた被保険者又は被害者に交付しなければならない。
4保険会社は、前三項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、被保険者又は被害者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険会社は、当該書面を交付したものとみなす。
保険会社は、前条第二項又は第三項の規定により書面を交付した後において、被保険者又は被害者から、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、書面により、保険金等の支払に関する重要な事項(同条第二項の国土交通省令・内閣府令で定める事項を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるもの又は同条第三項に規定する支払を行わないこととした理由の詳細であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものについて説明を求められたときは、次項前段に規定する場合を除き、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、当該説明を求めた者に対し、書面により、当該説明を求められた事項を説明しなければならない。ただし、当該説明を求めた者の同意があるときは、書面以外の方法により説明することができる。
2保険会社は、前項の規定により説明を求められた場合であつて第三者の権利利益を不当に害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、当該説明を求められた事項の全部又は一部について説明をしないことができる。この場合において、保険会社は、説明をしない旨及びその理由を記載した書面を当該説明を求めた者に交付しなければならない。
3第一項の規定による説明又は前項の規定による書面の交付(次項において「説明等」という。)は、第一項の規定により説明を求められた日から起算して三十日以内にしなければならない。
4保険会社は、事務処理上の困難その他正当な理由により前項に規定する期間内に説明等をすることができないときは、同項に規定する期間内に、第一項の規定により説明を求めた者に対し、書面により、前項に規定する期間内に当該説明等をすることができない理由及び当該説明等の期限を通知しなければならない。
5保険会社は、第一項の規定による書面による説明、第二項の規定による書面の交付又は前項の規定による書面による通知(以下「書面による説明等」という。)に代えて、政令で定めるところにより、被保険者又は被害者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険会社は、書面による説明等を行つたものとみなす。
保険会社は、保険金等の支払の適正化を図る必要性が特に高いものとして国土交通省令で定める死亡その他の損害に関し、保険金等を支払つたとき又は第十六条の四第三項の規定による書面の交付をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
被保険者又は被害者は、保険会社による保険金等の支払又は支払に係る手続に関し、次のいずれかに該当する事実があるときは、国土交通大臣に対し、その事実を申し出ることができる。
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