土地収用法昭和二十六年法律第二百十九号
この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収用し、又は使用することができる。
土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、次の各号のいずれかに該当するものに関する事業でなければならない。
この法律又は他の法律によつて、土地等を収用し、又は使用することができる事業の用に供している土地等は、特別の必要がなければ、収用し、又は使用することができない。
土地を第三条各号の一に規定する事業の用に供するため、その土地にある左の各号に掲げる権利を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの権利を収用し、又は使用することができる。
2土地の上にある立木、建物その他土地に定着する物件をその土地とともに第三条各号の一に規定する事業の用に供するため、これらの物件に関する所有権以外の権利を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの権利を収用し、又は使用することができる。
3土地、河川の敷地、海底又は流水、海水その他の水を第三条各号の一に規定する事業の用に供するため、これらのもの(当該土地が埋立て又は干拓により造成されるものであるときは、当該埋立て又は干拓に係る河川の敷地又は海底)に関係のある漁業権、入漁権その他河川の敷地、海底又は流水、海水その他の水を利用する権利を消滅させ、又は制限することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの権利を収用し、又は使用することができる。
土地の上にある立木、建物その他土地に定着する物件をその土地とともに、第三条各号の一に規定する事業の用に供することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの物を収用し、又は使用することができる。
土地に属する土石砂れヽきヽを第三条各号の一に規定する事業の用に供することが必要且つ相当である場合においては、この法律の定めるところにより、これらの物を収用することができる。
この法律において「起業者」とは、土地、第五条に掲げる権利若しくは第六条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物件を収用し、若しくは使用し、又は前条に規定する土石砂れヽきヽを収用することを必要とする第三条各号の一に規定する事業を行う者をいう。
2この法律において「土地所有者」とは、収用又は使用に係る土地の所有者をいう。
3この法律において「関係人」とは、第二条の規定によつて土地を収用し、又は使用する場合においては当該土地に関して地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権、使用貸借若しくは賃貸借による権利その他所有権以外の権利を有する者及びその土地にある物件に関して所有権その他の権利を有する者を、第五条の規定によつて同条に掲げる権利を収用し、又は使用する場合においては当該権利に関して質権、抵当権、使用貸借若しくは賃貸借による権利その他の権利を有する者を、第六条の規定によつて同条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物件を収用し、又は使用する場合においては当該物件に関して所有権以外の権利を有する者を、第七条の規定によつて土石砂れヽきヽを収用する場合においては当該土石砂れヽきヽの属する土地に関して所有権以外の権利を有する者及びその土地にある物件に関して所有権その他の権利を有する者をいう。ただし、第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後において新たな権利を取得した者は、既存の権利を承継した者を除き、関係人に含まれないものとする。
4この法律において、土地又は物件に関する所有権以外の権利を有する者には、当該土地若しくは物件又は当該土地若しくは物件に関する所有権以外の権利につき、仮登記上の権利又は既登記の買戻権を有する者、既登記の差押債権者及び既登記の仮差押債権者が含まれるものとする。
5前項の規定は、鉱業権、漁業権又は入漁権に関する権利を有する者について準用する。この場合において、同項中「仮登記」とあるのは「仮登録」と、「既登記」とあるのは「既登録」と読み替えるものとする。
合併その他の事由に因り事業の承継があつた場合においては、この法律の規定によつて従前の起業者が有していた権利義務は、当該事業を承継した者に移転する。
起業者、土地所有者又は関係人の変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基く命令の規定によつて従前の起業者、土地所有者又は関係人がした手続その他の行為は、新たに起業者、土地所有者又は関係人となつた者に対しても、その効力を有する。
起業者は、第二十六条第一項の規定によつて告示された事業の用に供するため取得した土地については、公共の利益に沿うように適正な管理を行なわなければならない。
2起業者は、前項に規定する土地を、同項に規定する事業の用以外の他の用に供する工作物その他の施設の用に供するために利用し、又は利用させるときは、当該土地の周辺の環境を阻害しないよう配慮しなければならない。
第三条各号の一に掲げる事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査をする必要がある場合においては、起業者は、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を記載した申請書を当該区域を管轄する都道府県知事に提出して立入の許可を受けなければならない。但し、起業者が国又は地方公共団体であるときは、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を都道府県知事にあらかじめ通知することをもつて足り、許可を受けることを要しない。
2都道府県知事は、前項本文の規定によつて立入の許可の申請があつた事業が第三条各号の一に掲げる事業に該当しない場合又は立ち入ろうとする土地の区域及び期間が当該事業の準備のために必要な範囲をこえる場合を除いては、立入を許可するものとする。
3前項の規定によつて都道府県知事の許可を受けた起業者又は第一項但書の規定によつて都道府県知事に通知をした起業者は、土地に、自ら立ち入り、又は起業者が命じた者若しくは委任した者を立ち入らせることができる。
4都道府県知事は、第二項の規定による許可をしたとき、又は第一項但書の規定による通知を受けたときは、直ちに、起業者の名称、事業の種類並びに起業者が立ち入ろうとする土地の区域及び期間をその土地の占有者に通知し、又はこれらの事項を公告しなければならない。
前条第三項の規定によつて他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の五日前までに、その日時及び場所を市町村長に通知しなければならない。
2市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに、その旨を土地の占有者に通知し、又は公告しなければならない。
3前条第三項の規定によつて宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする場合においては、その土地に立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめその旨を占有者に告げなければならない。
4日出前又は日没後においては、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。
土地の占有者は、正当な理由がない限り、第十一条第三項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。
起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、第三条各号の一に掲げる事業の準備のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行うに当り、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくは試すヽいヽ若しくはこれに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行おうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行うことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事が許可を与えようとするときは土地の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2前項の規定によつて障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行おうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行おうとする日の三日前までに、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3障害物が山林、原野その他これらに類する土地にあつて、あらかじめ所有者及び占有者の同意を得ることが困難であり、且つ、障害物の現状を著しく損傷しない場合においては、起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、直ちに、障害物を伐除することができる。この場合においては、障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨を所有者及び占有者に通知しなければならない。
4前項の規定は、第一項の規定による土地の試掘又は試すヽいヽに伴う障害物の伐除をする場合には適用しない。
第十一条第三項の規定によつて他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証票及び都道府県知事の許可証(起業者が国又は地方公共団体である場合を除く。)を携帯しなければならない。
2前条の規定によつて障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行おうとする者は、その身分を示す証票及び市町村長又は都道府県知事の許可証を携帯しなければならない。
3前二項に規定する証票又は許可証は、土地又は障害物の所有者、占有者その他の利害関係人の請求があつたときは、示さなければならない。
4第一項及び第二項に規定する証票及び許可証の様式は、国土交通省令で定める。
第三条各号のいずれかに掲げる事業の用に供するための土地等の取得に関する関係当事者間の合意が成立するに至らなかつたときは、関係当事者の双方又は一方は、書面をもつて、当該紛争に係る土地等が所在する都道府県の知事に対して、当該紛争の解決をあつせん委員のあつせんに付することを申請することができる。ただし、当該土地等について、第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後は、この限りでない。
2都道府県知事は、前項の規定による申請があつた場合においては、当該紛争があつせんを行うに適しないと認められるときを除き、あつせん委員のあつせんに付するものとする。
3第一項の規定による申請で同一の事業に係るものが二以上の都道府県知事にされた場合において、それぞれの都道府県のあつせん委員のあつせんに付することが適当でないと認められるときは、関係都道府県知事は、協議により、いずれの都道府県のあつせん委員のあつせんに付するかを定めることができる。
あつせん委員は五人とし、事件ごとに、収用委員会がその委員の中から推薦する者一人及び学識経験を有する者で収用委員会が推薦するものについて、都道府県知事が任命する。
あつせん委員は、あつせん中の紛争に係る土地等について、第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた場合には、当該あつせんを打ち切るものとする。
あつせん委員は、あつせんが終つたとき、又は前条に規定する場合その他の事由によりあつせんを打ち切つたときには、遅滞なく、その経過及び結果を都道府県知事に報告しなければならない。
2あつせん委員は、前項の規定による報告をしたときは、当然に退任するものとする。
この法律に規定する事項を除き、あつせんの申請の手続その他あつせんに関し必要な事項は、政令で定める。
第十五条の二第一項本文に規定する場合において、当該紛争が土地等の取得に際しての対償のみに関するものであるときは、関係当事者の双方は、書面をもつて、当該紛争に係る土地等が所在する都道府県の知事に対して、仲裁委員による当該紛争の仲裁(以下単に「仲裁」という。)を申請することができる。ただし、当該土地等について、第二十六条第一項(第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の認定の告示があつた後は、この限りでない。
2第十五条の二第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「あつせん委員」とあるのは「仲裁委員」と、「あつせん」とあるのは「仲裁」と読み替えるものとする。
3第一項の規定により仲裁の申請がされた後仲裁判断が行われるまでの間、当該申請に係る土地若しくは物件の所有権その他の権利、第五条に掲げる権利又は第七条に規定する土石砂れきを採取する権利に関しては、起業者又はこれらの権利を有する者は、それぞれ、第三十九条第一項又は第二項(第百三十八条第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による申請又は請求をすることができない。
仲裁委員は三人とし、事件ごとに、収用委員会がその委員の中から推薦する者について、都道府県知事が任命する。
仲裁委員は、仲裁を行う場合において必要があると認めるときは、当事者の申出により、相手方の所持する当該紛争に係る資料の提出を求めることができる。
仲裁委員は、仲裁を行う場合において必要があると認めるときは、当事者の申出により、相手方の占有する土地その他当該紛争に関係のある場所に立ち入り、当該紛争の原因たる事実関係につき検査をすることができる。
2前項の規定により検査をする場合においては、仲裁委員の一人をして当該検査を行わせることができる。
仲裁委員は、仲裁判断を行つたときには、遅滞なく、その概要を都道府県知事に報告しなければならない。
2仲裁委員は、前項の規定による報告をしたときは、当然に退任するものとする。
仲裁については、この法律に別段の定めがある場合を除いて、仲裁委員を仲裁人とみなして、仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)の規定を準用する。
この法律に定めるもののほか、仲裁の申請の手続、仲裁の手続に要する費用その他仲裁に関し必要な事項は、政令で定める。
起業者は、次条の規定による事業の認定を受けようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定める説明会の開催その他の措置を講じて、事業の目的及び内容について、当該事業の認定について利害関係を有する者に説明しなければならない。
起業者は、当該事業又は当該事業の施行により必要を生じた第三条各号の一に該当するものに関する事業(以下「関連事業」という。)のために土地を収用し、又は使用しようとするときは、この節の定めるところに従い、事業の認定を受けなければならない。
事業が次の各号のいずれかに掲げるものであるときは、国土交通大臣が事業の認定に関する処分を行う。
2事業が前項各号の一に掲げるもの以外のものであるときは、起業地を管轄する都道府県知事が事業の認定に関する処分を行う。
3国土交通大臣又は都道府県知事は、次条の規定による事業認定申請書を受理した日から三月以内に、事業の認定に関する処分を行なうように努めなければならない。
起業者は、第十六条の規定による事業の認定を受けようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、左に掲げる事項を記載した事業認定申請書を、前条第一項又は第二十七条第一項の場合においては国土交通大臣に、前条第二項の場合においては都道府県知事に提出しなければならない。
2前項の申請書には、国土交通省令で定める様式に従い、次に掲げる書類を添付しなければならない。
3前項第四号から第六号までに掲げる意見書は、起業者が意見を求めた日から三週間を経過しても、これを得ることができなかつたときは、添附することを要しない。この場合においては、意見書を得ることができなかつた事情を疎明する書面を添附しなければならない。
4第一項第三号及び第二項第二号に規定する起業地の表示は、土地所有者及び関係人が自己の権利に係る土地が起業地の範囲に含まれることを容易に判断できるものでなければならない。
前条の規定による事業認定申請書及びその添附書類が同条又は同条に基く国土交通省令に規定する方式を欠くときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、相当な期間を定めて、その欠陥を補正させなければならない。第百二十五条の規定による手数料を納めないときも、同様とする。
2起業者が前項の規定により欠陥の補正を命ぜられたにかかわらず、その定められた期間内に欠陥の補正をしないときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、事業認定申請書を却下しなければならない。
国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。
国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において、第十八条第三項の規定により意見書の添附がなかつたとき、その他必要があると認めるときは、起業地内にある第四条に規定する土地の管理者又は当該事業の施行について関係のある行政機関若しくはその地方支分部局の長の意見を求めなければならない。ただし、土地の管理者については、その管理者を確知することができないとき、その他その意見を求めることができないときは、この限りでない。
2事業の施行について関係のある行政機関又はその地方支分部局の長は、事業の認定に関する処分について、国土交通大臣又は都道府県知事に対して意見を述べることができる。
国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において必要があると認めるときは、申請に係る事業の事業計画について専門的学識又は経験を有する者の意見を求めることができる。
国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において、当該事業の認定について利害関係を有する者から次条第二項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があつたときその他必要があると認めるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。
2前項の規定による公聴会を開こうとするときは、起業者の名称、事業の種類及び起業地並びに公聴会の期日及び場所を一般に公告しなければならない。
3公聴会の手続に関して必要な事項は、国土交通省令で定める。
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