商法明治三十二年法律第四十八号
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荷送人は、前条の規定により個品運送契約の解除をしたときであっても、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務を免れることができない。
発航後においては、荷送人は、他の荷送人及び傭船者の全員の同意を得、かつ、運送賃等及び運送品の陸揚げによって生ずべき損害の額の合計額を支払い、又は相当の担保を供しなければ、個品運送契約の解除をすることができない。
運送人は、船長が第七百十二条第一項の規定により積荷を航海の用に供したときにおいても、運送賃の全額を請求することができる。
この節の規定は、商行為をする目的で専ら湖川、港湾その他の海以外の水域において航行の用に供する船舶(端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟を除く。以下この編において「非航海船」という。)によって物品を運送する場合について準用する。
航海傭船契約(船舶の全部又は一部を目的とする運送契約をいう。以下この節において同じ。)に基づいて運送品の船積みのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、傭船者に対してその旨の通知を発しなければならない。
2船積期間の定めがある航海傭船契約において始期を定めなかったときは、その期間は、前項の通知があった時から起算する。この場合において、不可抗力によって船積みをすることができない期間は、船積期間に算入しない。
3傭船者が船積期間の経過後に運送品の船積みをした場合には、運送人は、特約がないときであっても、相当な滞船料を請求することができる。
船長は、第三者から運送品を受け取るべき場合において、その第三者を確知することができないとき、又はその第三者が運送品の船積みをしないときは、直ちに傭船者に対してその旨の通知を発しなければならない。
2前項の場合において、傭船者は、船積期間内に限り、運送品の船積みをすることができる。
傭船者は、運送品の全部の船積みをしていないときであっても、船長に対し、発航の請求をすることができる。
2傭船者は、前項の請求をしたときは、運送人に対し、運送賃の全額のほか、運送品の全部の船積みをしないことによって生じた費用を支払う義務を負い、かつ、その請求により、当該費用の支払について相当の担保を供しなければならない。
船長は、船積期間が経過した後は、傭船者が運送品の全部の船積みをしていないときであっても、直ちに発航することができる。この場合においては、前条第二項の規定を準用する。
運送品の陸揚げのために必要な準備を完了したときは、船長は、遅滞なく、荷受人に対してその旨の通知を発しなければならない。
2陸揚期間の定めがある航海傭船契約において始期を定めなかったときは、その期間は、前項の通知があった時から起算する。この場合において、不可抗力によって陸揚げをすることができない期間は、陸揚期間に算入しない。
3荷受人が陸揚期間の経過後に運送品の陸揚げをした場合には、運送人は、特約がないときであっても、相当な滞船料を請求することができる。
発航前においては、全部航海傭船契約(船舶の全部を目的とする航海傭船契約をいう。以下この節において同じ。)の傭船者は、運送賃の全額及び滞船料を支払って全部航海傭船契約の解除をすることができる。ただし、全部航海傭船契約の解除によって運送人に生ずる損害の額が運送賃の全額及び滞船料を下回るときは、その損害を賠償すれば足りる。
2傭船者は、運送品の全部又は一部の船積みをした後に前項の規定により全部航海傭船契約の解除をしたときは、その船積み及び陸揚げに要する費用を負担しなければならない。
3全部航海傭船契約の傭船者が船積期間内に運送品の船積みをしなかったときは、運送人は、その傭船者が全部航海傭船契約の解除をしたものとみなすことができる。
発航後においては、全部航海傭船契約の傭船者は、第七百四十五条に規定する合計額及び滞船料を支払い、又は相当の担保を供しなければ、全部航海傭船契約の解除をすることができない。
第七百四十三条、第七百四十五条及び第七百五十三条第三項の規定は、船舶の一部を目的とする航海傭船契約の解除について準用する。この場合において、第七百四十三条第一項中「全額」とあるのは「全額及び滞船料」と、第七百四十五条中「合計額」とあるのは「合計額並びに滞船料」と読み替えるものとする。
第七百三十八条から第七百四十二条まで(第七百三十九条第二項を除く。)、第七百四十四条、第七百四十六条及び第七百四十七条の規定は、航海傭船契約について準用する。この場合において、第七百四十一条第一項中「金額」とあるのは「金額及び滞船料」と、第七百四十四条中「前条」とあるのは「第七百五十三条第一項又は第七百五十五条において準用する前条」と、第七百四十七条中「この節」とあるのは「次節」と読み替えるものとする。
2運送人は、前項において準用する第七百三十九条第一項の規定による運送人の損害賠償の責任を免除し、又は軽減する特約をもって船荷証券の所持人に対抗することができない。
運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく、船積みがあった旨を記載した船荷証券(以下この節において「船積船荷証券」という。)の一通又は数通を交付しなければならない。運送品の船積み前においても、その受取後は、荷送人又は傭船者の請求により、受取があった旨を記載した船荷証券(以下この節において「受取船荷証券」という。)の一通又は数通を交付しなければならない。
2受取船荷証券が交付された場合には、受取船荷証券の全部と引換えでなければ、船積船荷証券の交付を請求することができない。
3前二項の規定は、運送品について現に海上運送状が交付されているときは、適用しない。
船荷証券には、次に掲げる事項(受取船荷証券にあっては、第七号及び第八号に掲げる事項を除く。)を記載し、運送人又は船長がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2受取船荷証券と引換えに船積船荷証券の交付の請求があったときは、その受取船荷証券に船積みがあった旨を記載し、かつ、署名し、又は記名押印して、船積船荷証券の作成に代えることができる。この場合においては、前項第七号及び第八号に掲げる事項をも記載しなければならない。
前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項は、その事項につき荷送人又は傭船者の書面又は電磁的方法による通知があったときは、その通知に従って記載しなければならない。
2前項の規定は、同項の通知が正確でないと信ずべき正当な理由がある場合及び当該通知が正確であることを確認する適当な方法がない場合には、適用しない。運送品の記号について、運送品又はその容器若しくは包装に航海の終了の時まで判読に堪える表示がされていない場合も、同様とする。
3荷送人又は傭船者は、運送人に対し、第一項の通知が正確でないことによって生じた損害を賠償する責任を負う。
運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない。
船荷証券が作成されたときは、運送品に関する処分は、船荷証券によってしなければならない。
船荷証券は、記名式であるときであっても、裏書によって、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。ただし、船荷証券に裏書を禁止する旨を記載したときは、この限りでない。
船荷証券により運送品を受け取ることができる者に船荷証券を引き渡したときは、その引渡しは、運送品について行使する権利の取得に関しては、運送品の引渡しと同一の効力を有する。
船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、運送品の引渡しを請求することができない。
陸揚港においては、運送人は、数通の船荷証券のうち一通の所持人が運送品の引渡しを請求したときであっても、その引渡しを拒むことができない。
2陸揚港外においては、運送人は、船荷証券の全部の返還を受けなければ、運送品の引渡しをすることができない。
二人以上の船荷証券の所持人がある場合において、その一人が他の所持人より先に運送人から運送品の引渡しを受けたときは、当該他の所持人の船荷証券は、その効力を失う。
二人以上の船荷証券の所持人が運送品の引渡しを請求したときは、運送人は、その運送品を供託することができる。運送人が第七百六十五条第一項の規定により運送品の一部を引き渡した後に他の所持人が運送品の引渡しを請求したときにおけるその運送品の残部についても、同様とする。
2運送人は、前項の規定により運送品を供託したときは、遅滞なく、請求をした各所持人に対してその旨の通知を発しなければならない。
3第一項に規定する場合においては、最も先に発送され、又は引き渡された船荷証券の所持人が他の所持人に優先する。
船荷証券が作成された場合における前編第八章第二節の規定の適用については、第五百八十条中「荷送人」とあるのは、「船荷証券の所持人」とし、第五百八十一条、第五百八十二条第二項及び第五百八十七条ただし書の規定は、適用しない。
運送人又は船長は、陸上運送及び海上運送を一の契約で引き受けたときは、荷送人の請求により、運送品の船積み後遅滞なく、船積みがあった旨を記載した複合運送証券の一通又は数通を交付しなければならない。運送品の船積み前においても、その受取後は、荷送人の請求により、受取があった旨を記載した複合運送証券の一通又は数通を交付しなければならない。
2第七百五十七条第二項及び第七百五十八条から前条までの規定は、複合運送証券について準用する。この場合において、第七百五十八条第一項中「除く。)」とあるのは、「除く。)並びに発送地及び到達地」と読み替えるものとする。
運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく、船積みがあった旨を記載した海上運送状を交付しなければならない。運送品の船積み前においても、その受取後は、荷送人又は傭船者の請求により、受取があった旨を記載した海上運送状を交付しなければならない。
2海上運送状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
3第一項の運送人又は船長は、海上運送状の交付に代えて、法務省令で定めるところにより、荷送人又は傭船者の承諾を得て、海上運送状に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該運送人又は船長は、海上運送状を交付したものとみなす。
4前三項の規定は、運送品について現に船荷証券が交付されているときは、適用しない。
船舶と他の船舶との衝突(次条において「船舶の衝突」という。)に係る事故が生じた場合において、衝突したいずれの船舶についてもその船舶所有者又は船員に過失があったときは、裁判所は、これらの過失の軽重を考慮して、各船舶所有者について、その衝突による損害賠償の責任及びその額を定める。この場合において、過失の軽重を定めることができないときは、損害賠償の責任及びその額は、各船舶所有者が等しい割合で負担する。
船舶の衝突を原因とする不法行為による損害賠償請求権(財産権が侵害されたことによるものに限る。)は、不法行為の時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。
前二条の規定は、船舶がその航行若しくは船舶の取扱いに関する行為又は船舶に関する法令に違反する行為により他の船舶に著しく接近し、当該他の船舶又は当該他の船舶内にある人若しくは物に損害を加えた事故について準用する。
前三条の規定は、船舶と非航海船との事故について準用する。
船舶又は積荷その他の船舶内にある物(以下この編において「積荷等」という。)の全部又は一部が海難に遭遇した場合において、これを救助した者があるときは、その者(以下この章において「救助者」という。)は、契約に基づかないで救助したときであっても、その結果に対して救助料の支払を請求することができる。
2船舶所有者及び船長は、積荷等の所有者に代わってその救助に係る契約を締結する権限を有する。
救助料につき特約がない場合において、その額につき争いがあるときは、裁判所は、危険の程度、救助の結果、救助のために要した労力及び費用(海洋の汚染の防止又は軽減のためのものを含む。)その他一切の事情を考慮して、これを定める。
海難に際し契約で救助料を定めた場合において、その額が著しく不相当であるときは、当事者は、その増減を請求することができる。この場合においては、前条の規定を準用する。
救助料の額は、特約がないときは、救助された物の価額(救助された積荷の運送賃の額を含む。)の合計額を超えることができない。
数人が共同して救助した場合において、各救助者に支払うべき救助料の割合については、第七百九十三条の規定を準用する。
2第七百九十二条第一項に規定する場合において、人命の救助に従事した者があるときは、その者も、前項の規定に従って救助料の支払を受けることができる。
救助に従事した船舶に係る救助料については、その三分の二を船舶所有者に支払い、その三分の一を船員に支払わなければならない。
2前項の規定に反する特約で船員に不利なものは、無効とする。
3前二項の規定にかかわらず、救助料の割合が著しく不相当であるときは、船舶所有者又は船員の一方は、他の一方に対し、その増減を請求することができる。この場合においては、第七百九十三条の規定を準用する。
4各船員に支払うべき救助料の割合は、救助に従事した船舶の船舶所有者が決定する。この場合においては、前条の規定を準用する。
5救助者が救助することを業とする者であるときは、前各項の規定にかかわらず、救助料の全額をその救助者に支払わなければならない。
船舶所有者が前条第四項の規定により救助料の割合を決定するには、航海を終了するまでにその案を作成し、これを船員に示さなければならない。
船員は、前条の案に対し、異議の申立てをすることができる。この場合において、当該異議の申立ては、その案が示された後、当該異議の申立てをすることができる最初の港の管海官庁にしなければならない。
2管海官庁は、前項の規定による異議の申立てを理由があると認めるときは、前条の案を更正することができる。
3船舶所有者は、第一項の規定による異議の申立てについての管海官庁の決定があるまでは、船員に対し、救助料の支払をすることができない。
船舶所有者が第七百九十八条の案の作成を怠ったときは、管海官庁は、船員の請求により、船舶所有者に対し、その案の作成を命ずることができる。
2船舶所有者が前項の規定による命令に従わないときは、管海官庁は、自ら第七百九十七条第四項の規定による決定をすることができる。
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